2018年度グッドデザイン賞受賞「各住戸玄関前宅配ボックス」を利用した集合住宅における
新しい宅配システム
2018年10月03日
利用者と宅配業者、双方に困りごとがあった。
それぞれの課題を同時に解決する新しい仕組みが望まれていた。
ネット通販市場拡大での個人宅配の広がりに伴い宅配物の再配達が急増。
年間宅配総量約38億個の約2割、約7,600万個が再配達とされる。
この課題への対策が急務で、国交省でも予算計上し施策を検討。
同時にマンション居住者の不満も徐々に顕在化。
利便性向上および再配達増加を緩和するための新しい仕組みが望まれていた。
- 利用者の困り事
-
- 宅配ボックスが、満杯になってしまうことがある。
- ゴルフバッグなどの大きい荷物が入らないことがある。
- 水などの重い荷物を注文する事が良くあるが、荷物が重いと、部屋まで運ぶのが大変。
- 1人で待っていると、近くのコンビニやトイレに行けないなど、行動が制限される。
- 再配達手配の煩わしさ。
- 宅配業者の困り事
-
- ネット通販による配達量増加にともない再配達も増加。時間外労働による経営への圧迫、人材の有効利用が阻害。
- 食配・ファミレス配達、「1億総活躍社会」の浸透、夫婦がフルタイムで働くパワー共働き世帯の増加もあり、必要性は増す一方。
- 同じ住戸宛なら同じボックスに追加して入れたい。
- 1つのマンションで複数の配達がある場合は呼び出しやセキュリティ解除が煩雑。
もっと効率良く届けたい。

審査員の評価コメント
宅配ボックスは、分譲の集合住宅では、すでに一般化しているが、それを各住戸の玄関前に設置することで、極めて高い利便性を実現している。これは、購買行動が、インターネット中心となり、その結果の宅配、そしてまた、夫婦が職をもち日中の居住者不在が当たりまえになったライフスタイルにとっては有意義な計画である。指定業者制を導入することでセキュリティを高め、ソフトとも連動した取り組みとすることで、強く居住者の利便性にコミットメントした計画として評価できる。