インタビューinterview

大船仲通り商店街(徒歩9分/約710m)

"古い歴史"も、"暮らしやすさ"もある。
この街の魅力が、人々の活気に。

  • 大船ひがし幼稚園 石井秀卓園長
  • 地元の老舗 大船軒
  • 「大船まつり」実行委員長 田子祐司氏
  • 「大船まつり」実行委員長 田子祐司氏

01 INTERVIEW

人びとのコミュニティと豊かな自然が、
子育てをしっかりサポート

石井秀卓Hidetaka Ishii

学校法人大船いしい学園 ひがし幼稚園理事長兼園長。多摩美術大学デザイン科卒。その後、玉川大学にて幼児教育を学ぶ。グラフィックデザイナー及びアーティストとして作品を発表する傍ら、幼児期の造形活動を継続研究。秋に行われる「大船to大船渡」の実行委員会会長もつとめる。

駅前のにぎわいもあれば、歴史ある建造物や豊かな自然もある。
そんな大船の「暮らしやすさ」について、大船ひがし幼稚園の石井秀卓園長にお伺いしました。

アクセス抜群ながら豊かな自然もある

昨今のライフスタイルの変化にともない、鎌倉市でも待機児童に関するさまざまな対策を始めている最中です。現在、数年前まで鎌倉市では保育園利用者が3割、幼稚園利用者が7割という割合でした。それが2年前に4対6となり、いずれは半々、もしくは保育園利用者が多くなるのも時間の問題だとは言われています。そのため、現在鎌倉市内には4つの認定こども園があるほか、従来の幼稚園でも「預かり保育」を行ったりと、ご家庭ごとのさまざまなニーズに対応できるよう取り組みを進めています。

大船の良さはなんといっても「暮らしやすさ」。鎌倉という「土地柄の良さ」もありがなら、都内へ出る交通のアクセスもいい。しかも観光地ではないので、物価がすごく安いんです。JR鎌倉駅周辺、いわゆる「旧鎌倉」エリアの人達は電車に乗ってわざわざ大船まで買いに来ることもありますよ。

新鮮な魚も野菜も手に入り、小さな町なのに商店街が4つもある。僕は特に「仲通り」は大船の貴重な文化だと思っています。大きな商業店もいいですが、鮮魚店や青果店が並んでいて、例えば晩ごはんのおかずを相談したり、目の前で魚をおろしてくれる姿を子ども達と見ることができる。それって子どもにとってはすごく貴重な経験だと思うんですね。うちの幼稚園でもよく子ども達を連れて行きますが、混雑していてもみんなうちの子ども達を受け入れてくれ、中には店の中を見せてくれる人もいます。

また、すぐ近くに豊かな自然がたくさんあります。県立大船高校の裏にある「六国見山」は、子連れでも十分登れるとてもいいハイキングコース。頂上に登れば逗子マリーナや江ノ島、富士山、横浜方面だとランドマークタワーまで見えますよ。それでいて、古く歴史あるお寺もたくさんある。お子さんにとって、とてもいい環境ではないでしょうか。

子育て世代が牽引するさまざまなイベントも

人が集まる地域なので、新しく引っ越してきた人でもコミュニティが作りやすいのではないでしょうか。子育て世代の人も多いですし、特に今、若者がオーナーとして切り盛りしている飲食店が増えていて、それらは商店街の垣根を超えて仲良くしています。彼らは積極的にイベントに参加している人も多いので、いろいろと楽しめると思いますよ。

大船のイベントと言えば、毎年5月に行われる「大船まつり」が有名でしょうか。 商店街や町内会が主導になって盛り上げる、大きなお祭りです。また、僕が主催している「大船to大船渡」という、岩手県復興のためのイベントも今年で8回目を迎えます。また、ライブハウスを含め30店舗ほどのお店がライブ会場になる「大船ライブパーティー」というイベントも。いろいろな形で楽しんでいただけるのではないでしょうか。

大船 to 大船渡の様子

子どもたちを伸ばすさまざまな体験も

大船ハチミツプロジェクトの様子

お子さんを持つ方にぜひ知っていただきたいのが、大船にある「NPO法人 鎌倉てらこや」。鎌倉市周辺地域の小・中学生を対象としたプロジェクトで、地域の人たちとボランティアの大学生たちとでさまざまなイベントを行っています。

この「鎌倉てらこや」から発生したのが、僕も関わっている「鎌倉こどもハチミツプロジェクト」。子ども達と一緒に北鎌倉の建長寺の裏山で養蜂を行い、商品化・販売するプロジェクトです。単なる自然観察ではなく「ビジネスも学んでいく」ことを目的としているので、商品の企画立案から利益率の計算まで子ども達にさせていく。なかなかできない体験ではないでしょうか。

大船ハチミツプロジェクトの様子

お話していて改めて思うのは、大船は自分たちの住んでいる場所を誇りながら、それを「もっといい場所に変えていこう」という意識が高い人たちが多いのかもしれません。これから住む方もぜひ一緒に、より良い街づくりに参加していただければと思います。

02 RECOMMENDED

数々の駅弁で知られる老舗「大船軒」について広報ご担当者の方に伺いました。
やはり一番有名なのは「鯵の押寿し」ではないでしょうか?
地元の人たちのソウルフード的存在なのはもちろん、
駅弁好きなら誰もが知っている人気商品です。

大船軒Ohfunaken

鎌倉市岡本2-3-3 大船軒本社ビル 
営業11:00〜15:00 TEL0467-44-2005

販売されている「鯵の押寿し」は2種類。「鯵の押寿し」は980円、写真は創業当時から伝承される味が自慢の「伝承鯵の押寿し」1280円。

大船っ子にとって、地元の老舗として慣れ親しんだ存在の「大船軒」。そのイメージは大きく2つあります。1つはもちろん、「鯵の押寿し」。

大船駅が1988年に開業すると、大船は大きな発展を見せ始めます。そんな中、大船軒は1898年に大船駅構内に開業。翌1899年には「駅弁サンドウィッチ」を〝日本初の駅弁〟として販売開始します。その後1913年に「鯵の押寿し」が販売開始に。つまり大船軒は、大船の発展の歴史とともに歩んできた企業であり、「鯵の押寿し」は、約100年以上続くロングセラーということ。

かつて松竹大船撮影所が存在した頃には、撮影スタッフや俳優たちに差し入れられることもよくあったのだとか。また、かつて鎌倉に住んでいた故・井上ひさし氏もこの大船軒の「鯵の押寿し」をこよなく愛していた人の一人。今でも井上氏が立ち上げたこまつ座では、台本合わせの初日にこの「鯵の押寿し」を食べて頂いているそうです。

販売されている「鯵の押寿し」は2種類。「鯵の押寿し」は980円、写真は創業当時から伝承される味が自慢の「伝承鯵の押寿し」1280円。

そして、もう1つのイメージはこの大船軒本社の〝建物〟。昭和レトロモダンな佇まいを持つこの社屋は1931年に竣工されたのだそう。当時としては珍しいコンクリート造りのモダンな社屋で、かつては1・2階が工場となっており、ここで「鯵の押寿し」が作られていたといいます。

駅から大船フラワーセンターに向かう途中にあるため、多くの人の目につくこの建物。「建物の中を見せてほしい」という要望が多くあったため、本社社屋内に直営レストラン2011年より「茶飲み処 大船軒」をオープン。こちらでは作りたての押寿しをいただくことができます。第二次世界大戦時には海軍に接収されたというこの建物の中で、大船の長き歴史に思いを馳せながらゆっくり味わいましょう。

明治30年ごろの大船駅。鉄道駅の開業により大船は一躍交通の要所となり、その後の大船の発展にも大きく影響していきます。

販売当初のサンドウィッチの掛け紙。そのおいしさともの珍しさから、たちまち売り切れ、品切れが続いたそう。そののち他社もサンドウィッチを販売するようになり、新たな名物として考案されたのが「鯵の押寿し」です。

社員たちがほぼ手作りで作り上げたという茶飲み処は、レトロな落ち着ける空間。

03 INTERVIEW

2018年5月の開催で、第15回を迎えた「大船まつり」。
今や多くの住民が楽しみにする、
大船を代表するお祭りへと成長しました。
始まりのいきさつやこのお祭りにかける想いを、
実行委員長の田子祐司さんに伺いました。

田子祐司Yuji Tago

鎌倉市今泉で内装業を営む傍ら、花火大会や鎌倉まつりの実行委員長を務める。
2015年より「大船まつり」の実行委員長に。

大船まつりがスタートしたのは、2003年のこと。
「松竹撮影所がなくなり、その後にできた鎌倉シネマワールドも閉鎖されたことで、大船の町が静かになってしまったんですね。ところが2003年に鎌倉女子大学キャンパスが跡地に移転してくることになった。その記念も含め『一緒に大船を活性化させていこう』と始まったのが『大船まつり』です」

「鎌倉女子大学のマーチングバンドがきっかけで始まったパレードも、年々規模を拡大。今では子どもたちがパレードに参加し、それを家族みんなで応援してさまざまなイベントとともにお祭りを楽しむというスタイルが定着しています。年々お祭りの規模も拡大し、今年の来場者はなんと約9万5千人!」

目玉のパレードでは、鎌倉市長や商工会長たちも仮装姿で登場して町を盛り上げます。

「大きなお祭りだと治安を心配する方もいるかもしれませんが『大船まつり』は家族で安心して楽しめるお祭り。とても雰囲気がいいんですよ」

と語る田子さん。もともと大船エリアにはこういった大きなお祭りがなかったのだそう。それもあってスタートしたこの「大船まつり」ですが、地元で生まれ育った人はもちろん、最近このエリアに住みだした若い人たちでも「スタッフとして手伝いたい」という人が多いのだとか。まさに〝みんなで一緒に作り上げるお祭り〟です。

田子さんが今心がけているのは、子どもたちの〝ふるさとづくり〟。
「子どもたちが『自分のふるさとはどこにあるの』と考えたとき、その地盤を作って行くのが〝地域〟だと思うんです。だからこういったお祭りや地元のイベントなどを通して、自分たちの住む町を知り、楽しみ、ふるさとだと思える場所になれたらいいですね」

「15周年記念ゆるキャラ大会」では、たくさんのゆるキャラが登場して、子供たちにも大人気。

2018年、予想以上の反響だったという「昭和の大船写真展」。古くから暮らす人は懐かしく、最近の大船しか知らない人はさまざまな発見が。

04 INTERVIEW

大船っ子たちの自慢の1つは、この活気ある商店街です。
中でも大船仲通り商店街は近くの住民の「台所」である
だけでなく今や近隣エリアからもわざわざ買い物に来るという、
大船を代表する場所。そんな大船仲通り商店街の魅力を、
商店会会長の長瀬さんに伺いました。

長瀬俊一Shunichi Nagase

大船仲通り商店街12代目会長。大船仲通り商店街に店舗を構えるミクニ靴鞄店店主。ちなみに初代会長は長瀬さんのお祖父様だったそうです。

平日休日問わずいつも活気に溢れ、多くの人が行き交う大船仲通り商店街。その様子から「湘南のアメ横」と呼ばれることも。
ところが、12代目の商店会会長を務める長瀬さんによれば
「いやいや、昔はもっと人通りが多かったですよ」
というから驚き!

古い歴史を持つ大船仲通り商店街。かつては駅前商店街の方が賑わっており、仲通り商店街は住宅兼店舗というお店が多かったのだそう。しかし昭和30年代半ばから住宅が他の場所に移転。それに伴い仲通り商店街の方に店舗が増えて人の流れも多くなり、だんだんと今の形になっていったのだとか。

「松竹撮影所があったころには、この仲通り商店街でも頻繁に撮影が行われてました。お店もみんな協力してましたね」

撮影所はなくなったけれど、仲通り商店街は変わらず市民の生活を支える場所として存続し続けています。その最大の特徴は、生鮮を取り扱う店や昔ながらの個人店が多く、みんな元気よく営業を続けているということ。街を歩くと聞こえてくる威勢のいい声に誘われて、ついついあれこれ買ってしまいそうに!?

ちなみに学校や自治体など、あちこちから視察の申し込みも多いのだそうです。
「でも今後を考えると、若い人たちをもっと呼び込まないと、と思っています。スーパーやショッピング施設での買い物に慣れている世代は、なかなか個人店では買い物がし辛いんでしょうね。でも、お客さんがあってこその商店街ですから」

まずは足を運んでもらうため、「餅つき大会」など親子で楽しめるイベントも定期的に行っているそう。

「最初は、遊びに来て知ってもらうだけでもいいんです。ぜひ仲通り商店街を生活の一部にしていただければ、と思います」