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#49 コレクティブハウスについて考える 〜多世代が一緒に暮らすこと
日本にもコレクティブハウスというのがあるのをご存知でしょうか。
今日は日本で最も早くできた日暮里にある「コレクティブハウスかんかん森」をご紹介します。2003年にできたこのコレクティブハウス、28戸の様々なタイプの住戸をもち、共同で使えるスペースを設けました。特に注目するのが共同のキッチン“コモンダイニング”です。
一人で使ってもいいですし、何人かで一緒に食事をしてもかまいません。いつも一緒に食べるという訳ではないのですが、ゆるやかなルールを共有してできるだけ一緒に食事をするようにしているそうです。
こうしたコレクティブハウスは、スウェーデンやデンマークの公共住宅で1960年代の初めに、取り組みが始まりました。スウェーデンでコレクティブハウスを提唱し始めたのは働く女性たちでした。多世代の人が集まって住み、子育てや家事を共同化し合理的で豊かな暮らしを実現するためでした。ここでは「コモンミール」という共同で食事をつくり一緒に食事をするという方法がとられました。もちろん参加したくない日や用事のある日は一緒に食べなくてもいいのですが、月に1度か2度の食事当番は基本的に全員が参加するというのが一般的なルールです。かつてアメリカのコレクティブハウスを取材した時に、住人が「一緒に食事をするのが家族です」といっていたのが印象的でした。血縁よりもいつも一緒に食事をすることで大きな家族のようになるというのです。こうしたコモンミール以外にも、共同でスペースを持つと便利な事もたくさんあります。大工道具や、レジャー用品など個人で持たなくてもいいものは共同で持つことができますし、趣味を共有してサークル活動なども行うこともできます。しかし一方共同で住むにはそれなりのルールが必要にもなります。多少面倒なこともあるかもしれません。メリットを得るためには少しの我慢が必要とも言えます。
すばらしい考えなのですが、日本でこの考えを展開しようとすると、少しの我慢がどうも心配になります。共同で暮らす事に慣れていない戦後の歴史があります。高齢化するとわがままになりがちな日本人、どこまでゆるやかなルールにしながらコミュニティーを維持していくかが気になります。
このかんかん森でもできてから12年いろいろな段階があったといいます。ここではコモンミールは月に1回調理当番をすることが義務になっています。食べる食べないは自由です。ここでは様々なバックグランドの人がいます、年齢も様々です。子どもも15名います。単身の男性も数名いらっしゃいます。中には本人みずから選んだのでなく肉親の人が勧めて入居した人もいました。今後の暮らしを考えた時に、かんかん森を見つけて、本人にかわって申し込みしたというのです。そのかたは70代男性、最初は他人と住むことへの抵抗があったようですが、少しづつ入居者とのコミュニケーションが増え、家事も先輩の主婦の入居者に教わったり、料理教室に通うなどして料理の腕を上げてコモンミールでみんなに振る舞ったりと、かんかん森での暮らしをとても楽しんでいるようです。
自分の苦手なところは周りの人にサポートしてもらいながら、お互いに補い合って暮らして行く、世帯数や年代もばらばらなコレクティブハウスでは、知恵や技を分かち合うという魅力があります。
今日本では若い人たちの作るシェアハウスという暮らし方も始まっています。しかしこのコレクティブはそうしたシェアハウスとはスタートの仕方が違っています。もしかするとこうした共同で住む暮らしが違和感なくできるようになるのは、今の若い世代がシェアハウスのような暮らしを体験して、共同で暮らす知恵を体得した世代が大人になるころなのかもしれません。
いかがでしょうか、みなさんは、高齢者になって世代を超えて共同で暮らす事、してみたいと思いますか。みなさんのご意見をお寄せください。
(2015/9/29 一部内容を変更いたしました。)