プロジェクトリポート「ザ・パークハウス 中之島タワー」水都、進化する街。 〜大阪・中之島で始まる新たな暮らし〜
2018年05月30日
江戸時代、水運を利用した物資集積地として栄えた大阪・中之島。
その頃から現在に至るまで、経済、情報、文化の拠点として大都市、大阪の一翼を担い続けている。
その中之島に、免震タワーマンションとして日本最高階数、総戸数894戸の『ザ・パークハウス 中之島タワー』が完成した。
経済拠点、情報発信地というだけではなく、人がいきいきと住まう街へ。
中之島から、世界に誇る水都大阪の未来を眺める。
photos by Naoki Seo
text by Norihiko Morita
大阪・中之島は、堂島川と土佐堀川に挟まれた中州の街。江戸時代には諸藩の蔵屋敷が集まる物資供給地として「天下の台所・大坂」を支えてきた歴史がある。明治以降は行政の中心地となり、現在まで大阪を代表するビジネス拠点としてにぎわいを見せる。その中之島に55階建てのタワーマンションが誕生した。その偉容は、堂島川の水辺の風景を従えながら屹立するガラスの塔を彷彿とさせる。完成したタワーマンションを見上げながら、三菱地所レジデンスの菊地史晃は、これまでの6年間を思い起こしていた。用地取得担当者としてこの土地の可能性を感じたとき。法改正を受け、54階から55階へと免震構造タワーマンション「日本一」を目指し計画変更したとき。『ザ・パークハウス 中之島タワー』は、開発に加わった多くの人たちの記憶とともに、きらめき、そびえている。
グランドエントランスホールからオーナーズラウンジまでエスカレーターで。上昇するにつれ、その先への期待感が高まる。
『ザ・パークハウス 中之島タワー』の40・41階ビューラウンジ。
中之島の環境とランドスケープ。

ライトアップされたエントランス。ガラスウォールが、水のきらめきや木々の緑など、さまざまな表情を映し込む。
『ザ・パークハウス 中之島タワー』を訪れると、まず3層におよぶガラスウォールに目を奪われる。陽を浴びる木々や水盤の輝きを映し込み、夜になればライトアップされた公開空地(時のプレートガーデン)の光景を幻想的に反映させる。
「公開空地の植栽が一面のガラスウォールに映り込む、美しいランドスケープを求めました。中之島エリアの象徴でもある水や緑、また、美術館や科学館が隣接する芸術の街のイメージを取り込むことで、中之島の一部として愛される物件となるように計画しました」
菊地が言うように、中之島はビジネス拠点であると同時に「大阪市立科学館」や「国立国際美術館」を擁する文化・芸術の街でもある。堂島川左岸に整備された水辺の空間「中之島バンクス」や堂島川の遊歩道も中之島の象徴だ。中之島のイメージをいかに『ザ・パークハウス 中之島タワー』が表現するかが開発のポイントでもあった。それは中之島らしいタワーマンションをつくるということでもある。このテーマに挑んだのは、竹中工務店設計部の立本良氏。導き出したコンセプトは「アクア・プリズム」。中之島のアクアライン(水面)のイメージをガラスに託し、天空に向け幾層にも積み重ねた。グランドファサード(1〜4階)のガラス壁面が、光・水・緑を映し出し、さまざまに表情を変える。
(左)エントランス前の公開空地「時のプレートガーデン」。堂島川から続く水辺の風景に彩りを加えている。
(右)アプローチの水盤は、堂島川へと注ぐ水の流れをイメージ。
内包する"水"のイメージ。
「中之島の水景をコンセプトにしたことで、共用部などの方向性も定まりました。華美な装飾にとらわれるのではなく、自然の力強さを、建物を通じて表現する。シンプルですが迫力のあるデザインにしています」立本氏は、エスカレーターが印象的なグランドエントランスホールのデザインだけでも10案以上を検討した。そのなかで提案された仕様のひとつが、ホール壁面の割肌黒御影石。石の白い模様が流れる水を想起させ、岩肌を伝う水が、アプローチの水盤へと流れ込み、さらに堂島川へそそぐというイメージだ。単にデザインするだけでなく、建物にストーリーを纏わせ、中之島ならではの物件に仕立てている。3階のオーナーズラウンジでも絵画やオブジェ、照明に水のイメージを取り入れているが、印象的なのはラウンジに面した庭園「シーズナルガーデン」。堂島川の上流から下流までを再現し、エレベーターホール前の上流域は石段と枯山水、オーナーズラウンジ前の中流域を鏡面仕上げの石積、カフェラウンジ前の河口域をテラスで表現した。
堂島川の水景を感じる共用スペース。
オーナーズラウンジは、アートや照明、ランドスケープにより、堂島川の水景を表現。水のある風景が、そのまま暮らしの一部となるような意匠を施している。吹抜の全面ガラスも含め、デザインコンセプト「アクア・プリズム」を体現した空間として、居住者に癒やしの場所を提供している。
(左)カフェラウンジからはシーズナルガーデンのデッキプラザに出ることも可能。風を感じながら堂島川を眺められる。
(右)エレベーターホール、オーナーズラウンジ、カフェラウンジまで続く庭園(シーズナルガーデン)は、堂島川の流域をイメージ。上流から下流までの景観の変化を石段や鏡面仕上げの石積で表現している。
光が降り注ぐ、二層吹抜のオーナーズラウンジ。奥には"深海"をテーマとした絵画が。

水を表現したガラスアートは照明としても機能している。

吊り下げられた照明も水滴をイメージ。オーナーズラウンジ全体で堂島川の水景を表している。

グランドエントランスホールの壁面には黒御影石を採用。荒々しい割肌が、ライティングにより美しい表情を見せる。
「マンションは住まいをご提供すると同時に、その場所や地域の魅力を伝えていく、表現していくことも役割のひとつだと考えています。今回は本当に中之島のよさがわかる物件になったと思います」と、語るのは、三菱地所レジデンス商品企画部の服部直記。菊地とともにこのプロジェクトを推進してきたひとりだ。グランドエントランスホールの壁面を黒御影石だけで埋め尽くす案にこだわったのも服部だった。共用部も専有部も妥協しないものづくりが、よりよい商品を生み出すと服部は言う。

41階のゲストルームからも大阪の風景を一望。
たとえば大阪の摩天楼をリラックスしながら楽しんでいただくため41階のゲストルームにビューバスを設置。入浴しながらの美しい夜景を邪魔しないよう、窓の手摺りも透明な素材に変更し、雰囲気を損なわないように配慮した。デザイン的な側面だけでなく、防災の観点からは新たな取り組みとして消火・救助活動に使用する非常用エレベーターを避難誘導用エレベーターとしても利用できるよう大阪市に申請。管理会社(三菱地所コミュニティ)と協業し「自営消防隊(管理員と居住者で組織)」の仕組みを分譲住宅として初めて採用した。デザイン性や快適性、さらに防災・安全性までをトータルに考えるのが、三菱地所レジデンスのものづくり姿勢なのだ。
水都大阪に浮かぶ、ラグジュアリー空間。
40・41階のビューラウンジやパーティールーム、ゲストルームは、大阪の風景を存分に堪能できる空間。バーカウンターではバーテンダーを招き、居住者だけのバーラウンジとして利用可能。5階にはライブラリー・スタディールームやゴルフレンジなども用意している。
(左)ビューラウンジは、40・41階ともに広々としたラウンジスペースがあり、くつろぎの時間を堪能できる。
(右)ビューラウンジのバーカウンターは、ゆったりとした一日の終わりを演出してくれる。

ジャグジー付きのビューバスがラグジュアリーな夜を演出(41階ゲストルーム)。

広々としたキッチンを備えたパーティールーム。
安全に配慮したマット敷きエリアやボールプールを備えたキッズルーム。
世界中のゴルフコースを選べる最新シミュレータを備えたゴルフレンジ。
深めのソファで思い思いの時間を楽しめるライブラリー・スタディールーム。
中之島を人々の住まう場所へ。
現在の中之島の開発は1973年の「中之島地区再開発調査委員会」設置にまで遡る。その後、1988年に文化・国際・業務ゾーンなどに区分けし開発を進めることで、ホテルや美術館、オフィスビルが集積する街に成長した。そして、今現在、中之島はミュージアムコンプレックスゾーンやグローバルアメニティビジネスゾーンなど、新たなゾーニングを設定し、開発が進められている。『ザ・パークハウス 中之島タワー』が建つのは「プレミアムライフゾーン」と呼ばれる新たな暮らしのエリアだ。つまり、菊地たちは総戸数894戸に暮らす人々の"街"を中之島の一角に誕生させたとも言えるだろう。
これまでビジネス・文化拠点だった中之島が、上質なライフスタイルを実現する場所へと進化を遂げた。『ザ・パークハウス 中之島タワー』は、中之島の新たなランドマークとして、暮らしの拠点として、変わりゆく水都大阪を眺め続ける。
堂島川のほとりに建つ『ザ・パークハウス 中之島タワー』。
ザ・パークハウス 中之島タワー(販売済)
都心の利便性と水都の安らぎを併せ持つレジデンスは、免震タワーマンションとして日本最高階数、55階を誇る。エントランス前の公開空地は、堂島川沿いの歩道に連なるように配置。ビジネスや観光に訪れた人々を癒やすランドスケープを創出している。

● 所在地/大阪府大阪市北区中之島6丁目8番3他2筆(地番)
● 構造・規模/鉄筋コンクリート造・地上55階建、鉄骨造地上2階建2棟
● 売主/三菱地所レジデンス株式会社、住友商事株式会社、京阪電鉄不動産株式会社、株式会社アサヒプロパティズ
● 設計・施工会社/(株)竹中工務店